Vineの6秒動画やTikTok、25分で完結する深夜ドラマに2分20秒のTwitter動画やyoutubeのPV。
100分以上も無言で上映される小津安二郎のサイレント映画時代には考えられないほど、コンテンツの時間は短縮されて、濃度が上がってきているように感じています。
当記事では、演劇を始めとするエンタメコンテンツの作り方が、起承転結方式から序破急方式に移行していく件について、考察します。
目次
起承転結とは

そもそも起承転結とは何でしょうか。説明できます?
Wikipediaによると、
起承転結(きしょうてんけつ)とは、4行から成る漢詩(近体詩)の絶句の構成を指す。
Wikipediaより引用
つまり、漢文の書き方みたいなもんですね。
起で情景や前提を描き、承で話を深める。
転で物語にメリハリをつけて、結で観客を納得させる。
演劇に当てはめるとこんな感じでしょうか。
でも、起承転結っていうのはそもそも、国際的に見ると一般的な構成じゃないんです。
国際的に普及しているのは、英語でいう一般的なパラグラフライティング(主張→根拠→主張)の書き方なんです。
いわゆる三幕構成ですね。
もちろん、日本にも三幕構成の文化はあります。
それが、序破急です。
序破急とは

序破急って知ってますか?
演劇人であれば知ってますよね。
とかいいながら、自分も半年ぐらい前に知ったんですけど。
Wikipediaによると、
序破急(じょはきゅう)とは、日本の雅楽の舞楽から出た概念であり、能楽、連歌、蹴鞠、香道、剣術、抜刀術、居合道、茶道など芸道論で使用される言葉である。
Wikipedia
まぁ要するに、昔から日本にあった三幕構成ですよっていうことです。
序で命題提示。
破で話を深めて転換させる。
急で変化を示す。
こんな感じ。
例えば、CM作りには序破急が使われています。
序:○○って悩みがある
破:悩みを打開できる△△がおすすめだよ
急:△△のおかげで○○がこんなに良くなりました!
これが基本形になっています。
まぁ、もちろん序破急の三幕構成に行動経済学の要素とかをトッピングしつつ、売れるCMに仕上げていく訳ですが。
日本古来より使われている序破急という三幕構成。
これを使うと、起承転結で作られた物語によくありがちな、中だるみがなくなります。
関連記事:おもしろい物語の作り方を要素分解してみた
世の中のコンテンツは短縮されていく

とはいえ、三幕構成か四幕構成かの違いなので、作り手としてやることはそれほど変わりません。
でも、きっと受け手の印象はガラリと変わるはず。
例えば宅間孝行脚本の「夕-ゆう-」も、現在ー過去ー現在の三幕構成ですよね。
あれは2時間半越えの超大作ですが、過去にあたる部分の物語をかなり練り練りさせている訳です。
身もふたもない話ですが、過去の物語の内容を2時間から15分に濃縮することができれば、45分であれだけの感動を生むお芝居ができる、かもしれません。
「演劇の一番すごいところは、時間を操れるところだ」と、私の尊敬する演出家の方は仰ってました。
簡単な話、「夕-ゆう-」は数十年分のエピソードを切り貼りして、2.5時間にまとめあげていますよね。
だったら2.5時間の舞台を45分にして濃度を濃くし、同じかそれ以上の感動を与えることだってできるはずです。
もちろん、同時多発性会話とかその辺の技法を使う必要はあると思いますが。
そして、演劇が得意とする時間あたりの濃度を高めて感情を動かす手法が、TikTokやTwitter動画、YouTube業界にも広がりつつあるなと感じていたりします。
それは、動画の作り手が流行っているCMやPV、その他の動画を分析研究してるからじゃないかと。
今後は演劇業界もそうやって、コンテンツを提供する時間を減らしていく方向に向かうのではないかと予想しています。
可処分時間が動画業界に浸食されている中、わざわざ時間をかけてまで演劇を観にいきたい!という人は減ってくのではないかと。
【まとめ】これからは序破急を使ったオムニバス形式の舞台が流行る

そこで、考えられる効果的な解決策が、序破急構成を使いまくったオムニバス形式の舞台です。
放映されているテレビ番組しか見るもののなかった十数年前の時代とは違って、現代では自分好みのエンタメコンテンツを自分の趣向で選んで観ることができます。
演劇の圧倒的な強制力であった「劇場で公演を見る」という枠組みそのものが、「自分好みのコンテンツを観たい!」という人を遠ざけているような気がするんです。
舞台を観てておもしろくなかったら、演技中だろうが感動のシーンだろうが、私も途中で帰りますし。
そこで出てきそうなのが、オムニバス形式で公演を回しまくる舞台です。
序破急構成の15分くらいで完結する、タイプの違うお芝居を4本くらい用意して、外さない舞台運営をする劇団が増えてきそうやなぁって。
YouTubeも、自分好みの作品を好きなだけ観られるオムニバス形式のようなものですから。
そもそも飽きない舞台作りをすべきなんですけど、脚本がおもしろくなかったり演出がダメだったり、役者の技量が足りなかったりするときってありますよね。
そんなときに、仕組みで解決するならオムニバス形式で飽きない舞台にするしかないよなぁって。
その点だと、新入生公演とかに向いてるかもですね。
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おしまい。